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ブラック・スワン

バレリーナがプレッシャーと闘う話。

木曜日の昼間で客席には15人くらいしかいなかった。
オデット役には最適だけどオディールとしてはまるでダメと指摘されるバレリーナ。よくあるパターンだけど、その後いろいろあって最終的にはオデットもオディールも完璧に演じ分けられるようになりましためでたしめでたしという話ではない。ありがちなまわりの人の嫉妬による嫌がらせなど、なくもないけどたいしたことはない。もっと官能的に!官能的に!誘って!と監督に言われまくって重圧に押しつぶされ、自傷したり幻を見たり。
長らく主役を掴みたいと願っていて、ようやく主役に抜擢されて、ああもうこの喜びをなんて表したらいいの、という流れから、その後どんどん壊れていって、最終的に狂気のブラックスワンに目覚めるナタリー・ポートマンの演技がすごかった。そしてその後も。
バレエ好きとしては物足りなかったけど(ナタリー・ポートマンが踊ってるところはほぼ胸から上しか写さないし、全身が写ってるショットでは別の人が踊ってるのでちょっとボケ気味だったり小さかったり、あんまりはっきり写ってない)、サイコホラーとしては怖かった。主人公が狂う映画は怖い。あとお母さん怖い。
オディールが32回転やった後に翼をバッサーと広げるシーンが予告で使われていたので、その予告を見て「ちょっとその衣装はいくらなんでも前衛的すぎるでしょう」と思ってたんだけど、それも演出であった。実際そのシーンを見たら普通にきれいだと思った。まあそのメイクやベールは充分前衛的だけどね。