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海辺のカフカ

15歳の少年が独り立ちする話。

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

海辺のカフカ (下) (新潮文庫)

海辺のカフカ (下) (新潮文庫)

今さらこんな本のレビューを書こうなどとおこがましい。そもそも一字一句考えに考え抜かれて書かれた印象が強すぎる。
誰のエピソードだったか忘れたけど、とある有名な作家の息子だか娘だかが国語のテストに父親の文章が使われて、この時の主人公の心情を述べよ的な問題が出てわからなかったので父親に聞いたらわからないと言われたとかまったくとんちんかんな答えが返ってきたとか、曖昧すぎる説明で申し訳ないけれどそのエピソードを思い出す。私は現代国語は得意だったけど、それは作者の意図を読み取るのがうまかったわけではなく、この文章を読んで中学生あるいは高校生はどのように解釈するのが正しいかという大人の意図を汲むのがうまかっただけだった。作者にとっては考え抜いた挙句に言葉を尽くして説明した結果がその作品なので、それを10文字以内にまとめよなどという問題は笑止千万であり失礼極まりない無理難題なのであろう。作品は作品でありそれに解説も答えもない。
というようなことを考えるということは、他の人の小説を読むときには作者の意図を汲み取ろうと思いながら読んでる証拠でもあり、それはそれで失礼な話だなとも思う。作者の意図がどうとか完成度がどうとか考えずに、純粋に話を楽しめればいいのに。小説に限らず、映画でもドラマでも何でも。
まあごちゃごちゃと書いたけど、海辺のカフカは面白かった。星野さんがこの後しあわせになってくれるといいなと思う。他の人は自業自得というか運命というかそういう感じだけど、星野さんだけは巻き込まれた感が否めない。寄り道させちゃったけど、腰痛も治ったことだし、まっとうにふつうにまじめにしあわせに生きて行ってほしい。