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あなたになら言える秘密のこと

心を閉ざして毎日ただ生きてる感じの人が心を開く話。

あなたになら言える秘密のこと [DVD]

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最初の場面でダンサー・イン・ザ・ダークを思い出した。またひたすら暗い話かと思った。
だいたい工場で単純作業を黙々とこなすっていう描写は、どうしてこう「つまんない人生」の代表みたいに描かれるのかといつも思う。工場で単純作業を黙々とこなしている人を毎日見ているけど、彼らは全然つまんない人生を生きているわけではないし、仕事自体単純な流れ作業で浮き沈みがないと思われがちだけどそうでもない。毎日決まった時間だけ作業して終わりじゃない。需要がなければ製造だってできないのだ。製造が多い日もあれば少ない日だってある。より高い品質のものを作るための努力だってあるし、何も考えずに手を動かしてるわけでもない。
ついでに納得いかない部分をもう一点。4年間皆勤だったぐらいのことで組合から苦情が出るなんて信じられない。むしろ4年間一度も有休を使わなければ1ヶ月の休みがもらえるんだったら喜んでそうする。かもしれない。いややっぱしないかも。だって4年だったら少なくとも有休は40日ぐらいもらえるもんね。まとめて1ヶ月休むより、小出しに40日休んだほうがいいよね。
ここまでの気持ち悪いほど熱く語った部分は映画本編とはほとんど関係ない。話は静かにゆっくり進んでいくんだけど、最終的に主人公ハンナが重症の怪我を負っているジョセフを看病しながら語る「秘密のこと」は、それまでのストーリーのまったり具合とは釣り合わないえぐさのレイプ体験であり、レイプしながら耳元で「ごめんね」と笑顔で囁くとかぞっとする。まあ他にもその秘密にはえぐい描写があるんだけど、考えてみれば全身火傷・骨折・怪我のせいで目が見えないという状態で、体を拭いてもらいながら痛みに悶えつつ看病してくれる人を口説くとかいう一歩間違うとマニア向けの官能映画になってしまいそうなシーンもたくさんあったので、やっぱりこの監督はちょっと変態なんだと思う。
ずっと人に言えないで抱え込んできたものを初めて他人に吐き出した・・・っていう、不安とか安堵とかいろいろ入り混じった演技はとても良かった。